ピッキング防止法 特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律とは
【この記事のポイント】
この記事では、ピッキング防止法(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律)について、基本的な内容と注意点を分かりやすく解説します。
ピッキング防止法は、鍵を不正に開けるための道具や、建物への侵入に使われるおそれのある工具の所持・携帯を規制する法律です。
- 規制される行為:
ピッキングツールなどの特殊開錠用具を持つことだけでなく、バールやマイナスドライバーなどの指定侵入工具を、正当な理由なく隠して持ち歩くことも規制対象になります。 - 建物や鍵に関するルール:
指定された建物では、防犯性能を備えた鍵を使用することや、鍵の性能を分かりやすく表示することが求められています。 - 違反した場合の注意点:
正当な理由なく工具を所持したり、不正な目的で使用したりすると、罰則の対象になる可能性があります。仕事や日常で工具を持ち歩く場合も、目的を説明できる状態にしておくことが大切です。 - 確認しておきたいこと:
自宅や店舗の鍵が防犯性能の基準を満たしているか、普段持ち歩いている工具が規制対象になる可能性があるかを確認しておきましょう。 - 鍵屋へ相談する目安:
自力での解錠が法律に触れないか不安な場合や、防犯性の高い鍵への交換を検討している場合は、鍵屋へ相談すると安心です。
※具体的な罰則内容や最新の制度については、本文内の詳細項目をご確認ください。
ピッキング防止法(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律)
この章では、ピッキング防止法の目的と、法律の対象となる「指定建物錠」について分かりやすく解説します。
あわせて、法律違反を避けるために知っておきたい基本知識や、正当な理由なく特定の工具を持ち歩くことのリスクについても確認します。
鍵や防犯対策に関わる場合は、法的なルールと注意点を事前に理解しておくことが大切です。
法律の概要
2003年(平成15年)6月4日に成立し、同年9月1日から施行された、ピッキングツールなどの所持の禁止、および建物錠の防犯性能の表示等を義務付けた法律です。
正式名称は「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」といい、全五章と附則から構成されています。

第二章(所持・携帯の禁止)
第二章では「特殊開錠用具の所持等の禁止」として、ピッキングツールなど鍵開け専用ツールの所持を禁止しています。また「指定侵入工具の携帯の禁止」として、マイナスドライバーやバールなど、不正な解錠や侵入に使用される可能性の高い工具を正当な理由なく隠し持つ(携帯する)ことを禁止しています。
第三章(防犯性能の向上と表示義務)
第三章の第七条では、建物における鍵・錠の性能向上の義務と、その性能表示について定めています。
この法律に基づき制定された政令(施行令第三条)により、以下の3種類が「指定建物錠」として定められ、それぞれに性能表示が義務付けられました。
- 【シリンダー錠】
耐ピッキング性能(時間表示)、耐鍵穴壊し性能(時間表示)、耐サムターン回し性能(有無)、耐カム送り解錠性能(有無)、耐こじ破り性能(有無)、付属する子鍵の本数 - 【シリンダー】
耐ピッキング性能(時間表示)、耐鍵穴壊し性能(時間表示)、付属する子鍵の本数 - 【サムターン】
耐サムターン回し性能(有無)
第五章(罰則)
罰則規定は第五章に定められています。
- 第二章(所持・携帯)の違反: 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 特殊開錠用具の販売・授与: 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 第三章(表示義務等)の命令違反: 100万円以下の罰金(虚偽の報告等の場合は30万円以下の罰金)
ピッキング防止法の適用実例と注意点
ピッキング防止法では、業務等の「正当な理由」がない限り、マイナスドライバーやバールといった一般的な工具であっても、建物への侵入に供されるおそれが大きい「指定侵入工具」として携帯が禁止されています。
これは、一般の方であっても、車内やカバンの中に指定要件を満たす工具を理由なく入れているだけで、警察の職務質問等から逮捕される可能性があることを意味します。実際に、犯罪の未然防止を目的として、以下のような逮捕事例が多数報告されています。
- 通報のあった不法駐車の車内にバールがあるのを確認し、正当な理由のない携帯として逮捕
- 路上でマイナスドライバーを持つ挙動不審な人物を、正当な理由のない携帯として逮捕
- 深夜に少年がマイナスドライバーを所持して学校周辺を歩いていたところを逮捕
- 窃盗事件が多発する地域で、マイナスドライバーとバールを正当な理由なく車に積んでいた男性2人を逮捕
【逮捕事例】
2017年には、青森県警が乗用車内でマイナスドライバー2本を正当な理由なく所持していたとして、ピッキング防止法違反の疑いで自衛隊員を逮捕したことが全国的なニュースとして話題となりました。
一般の方でも、以下の法令基準を満たす工具を不用意に持ち歩く(または車に積みっぱなしにする)ことは違法となる可能性があるため、使用目的がない工具類は携帯しないよう十分な注意が必要です。
【参考】特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律施行令(抜粋)
第二条 法第二条第三号の政令で定める工具(指定侵入工具)は、次に掲げるものとする。
一 次のいずれにも該当するドライバー
イ 先端部が平らで、その幅が0.5センチメートル以上であること。
ロ 長さ(専用の柄を取り付けることができるものにあっては、柄を取り付けたときの長さ)が15センチメートル以上であること。二 次のいずれにも該当するバール
イ 作用する部分のいずれかの幅が2センチメートル以上であること。
ロ 長さが24センチメートル以上であること。三 ドリル(直径1センチメートル以上の刃が附属するものに限る。)
出典:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)
上記の施行令により、特に注意すべきマイナスドライバーは「長さ15cm以上、かつ先端の幅が0.5cm(5mm)以上」のものと特定されています。